何か
何かの音がした。
風呂場からかな。かちん、て。
多分何かが落ちたんだろうけれど、妙な不安感に押される。でも我が家はずっと落ち着いていてどうしようもないくらい私から気力を奪うの。
大好きなポスターも大好きな画集も大好きな色のカーテンも、私が好きだからきっとこのモノたちも私のことが大好きなんだと思うわ。
大好きだから、あなたも大好き。それがモノは通用するのよ。誰のものでもなかったモノっていうのは私のモノにすることができるの。
ヒトじゃあそれはできないでしょ。
ヒトはソノヒトのものだから。
欲しくなっちゃっても、全部全部自分のモノにできるわけじゃないから。
それが私は嫌なのよ
全部自分のモノにしなくちゃ気が済まないの。
だから、モノしか好きになれないのよ。
モノは自分の所有物にできるから。
外にいると無性に部屋へ帰りたくなるの。部屋の中のモノは私のことが大好きな私のモノだから。
外にあるモノは誰のモノでも無いし、私は無関心だから向こうも無関心なの。
それがたまらなく嫌で。
愛されていないと不安になるの
モノは好きだとも嫌いだとも言わないけれど、所有物にしてしまったモノはわかりやすいわ。
だから私は、誰のモノでもないモノを自分のそばにおいて自分のモノにしてしまいたいのよ。
何者でもない私が愛す私のモノたち。
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